VOCALOID BL


□唄ウ―心カラのメッセージ―
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ドウシテダロウ。
コンナニモ近クニイルノニ・・・

ドウシテ届カナイノダロウ。
ドウシテ触レラレナイノダロウ。

手を伸バシテモ、君ハ気ヅイテクレナインダネ。


―――――――――・・・…


「あ、レン!」

「あ・・・」

「一緒にアイス食べる?」

「・・・い、いらない」

顔を伏せながら、俺はすたすたと歩き出した。

あの人は気づいてないからこんなことが出来るんだ。

俺がどんなにあの人の事を想っているのか。


――――KAITO


同じVOCALOIDとして、唄うために生まれた俺達。

俺の姉弟のリンや、ミク姉や、MEIKO姉も同じ。

勿論、KAITO兄も。

俺達はマスターがいたから生まれて来れたようなもの。

だから、マスターに感謝してる。

「ありがと、俺をKAITO兄と出会わせてくれて・・・」

「何か言ったあ?レン?」

大きな白いリボンを揺らしながら、俺の顔を覗き込む少女。

――――リン

「な、なんでもねぇよ!」

俺の大事な姉弟。

「あっそお」

ぷいっと背を向けて、リンは遠くの方へ駆けて行った。

リンの背中をぼーっと見つめながら歩いていると、

ソファーでコーヒーを飲みながらテレビを見ているマスターを見かけた。

マスターの隣にどすっと腰掛けると、小さい掠れた声で問いかけた。

「ねえ、マスター」

「どうした?レン」

「恋って何?」

「ぶっ」

マスターは飲んでいたコーヒーを噴き出すと、大笑いした。

「ははは!レンもついに恋か!」

「ち、違ぇええよ////」

「誰誰?言わないから教えなよー。あ、やっぱりリンか?」

「リンは違ぇ。」

「じゃあ、ミクかな?」

「ミク姉は大人だ。」

「ん?じゃあ、MEIKOか?」

「あれは大人過ぎるよ!」

「じゃあ、誰だ?」

「だからっ・・・」

俺が言いかけた時、後でバタバタと走る音がした。

「めーちゃああん!」

「こないで!ちょっと、キモイから!」

何だか最近よく見る光景。

MEIKO姉とKAITO兄の会話。

それを聞いていて、少し・・・いや、かなり嫉妬している自分がいる。

ぼーっとその光景を見ながら、俺はもう一度マスターに聞いた。

「ねぇ、恋って何?」






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