君のそばに
□第五話 それぞれの想い
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「葉…」
そう囁くと葉は驚いた顔をして固まった。
「俺…聞いちゃったんだけど…」
「ごめん!!今の忘れて!!」
名前を呼ぼうとしたのを遮った葉の声は震えていた。
「違うよ!!俺…嬉しくて…」
雅紀は布団から出て座ると葉の目を見つめて言った。
「俺、葉が好きだ」
信じられないかのように、顔を横に振っていた。
順序を間違えてしまったが、二人は両想いなのだ。
嬉しくて、嬉しくて仕方ない雅紀は葉に抱きつく。
「信じられない!!ほんとに…?」
まだ信じてくれない葉にもどかしさを覚える。
「ほんとにほんとにほんと!!」
そのあと、葉は何も言わなかった。
ただ、強く雅紀を抱きしめていた。