崩牡丹

□拍手文
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留三郎。




『お前は何故忍者になりたい?』
「何故…って」

 私の言葉を聞いて留三郎は振り回していた鉄双節棍を止める。

「今さらだな」
『別に。ずっと思っていた事だ』

 戦いこそが人生…こいつはいつもそう言っている。
 戦う用具委員長とまで言われるくらい戦いが好きだ。
 だからこそ分からない。

『忍者は戦う者じゃない。いつも逃げの姿勢だ。
 無様でも生き延び、任務を遂行する』
「…」
『お前…それができるのか?』

 我ながら意地の悪い質問かもしれない。
 できるわけがない。
 逃げるくらいならそこで潔く散ろうと考えるやつだから。

『で、何故お前は忍者になる?』
「…興味があるのか」
『あぁ…そうだな。気になるよ』

 私はお前を死なせたくない…そう思っているから。
 忍者にならなければ死ぬ確率はかなり下がる。
 何故忍者に執着するのか聞き出そうと思ったのだが…

「…言わん」
『えっ!』

 生意気な事に留三郎はそっぽを向いた。地味に腹が立つ。

『なんで?どうして?』
「…」
『なんでなんで?』
「…」
『とめさぶろー』
「あぁもう、うるさい!!!守るためだ!」
『…』

 急に大きな声を出されたというのもあるが、驚いたのはその理由。
 …<守るため>…?
 詳しく聞こうと思い口を開いたが、

「ったく…本人が気付いていない…これでは意味が…!」
『え?何?』
「なんっでもない!」

 ぶつぶつ呟いたかと思えば苛立ったように言い放ち、また鉄双節棍の練習をし始めてしまった。

『?』

とりあえず…聞き出すのはまた今度か…?







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