崩牡丹

□忍術学園全員出動!
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一年は組、摂津のきり丸。読書感想文。
人の物を写すつもりで、そしてバイトで忙しく、やってこなかった模様。

一年は組、福富しんべヱ。漢字ドリル。
人の物を写すつもりで手をつけず。
(その代わり美味しいものをいっぱい食べた模様)

三年ろ組、神埼左門。農業体験実習。
目的の農家まで辿り着けずに終了。
(ちなみに二年の宿題だった)

四年い組、平滝夜叉丸。社会科ドリル。
一年用だったためか破り捨てたらしい。

五年ろ組、不破雷蔵。理科ドリル。
疑心暗鬼が過ぎて三年用のドリルに手をつけられなかった模様。

五年ろ組、鉢屋三郎。
雷蔵が宿題に手をつけられなかったため付き合いで宿題を放棄。


そして六年は組、善法寺伊作。


『簡単だと思ったんじゃないのか』
「手に入れた旗を裂いて包帯にしてしまって…」

怪我をした兵を放っておけなかったのだろうが…
保健委員はこれだから忍者に向いていない。

「きり丸、しんべヱ、頼んだよ」
「うん!」
「任せとけって!」

喜三太と同じは組の生徒は心配そうだ。

「厚着先生、日向先生、よろしくお願いします」

土井先生の言葉に二人は頷く。
そして、選抜隊は忍術学園を出発した。

「あれ、土井先生?」
「ん?」
「何故土井先生か山田先生が一緒に行かないんですか?」

猪名寺乱太郎が不思議そうな表情をして担任を見上げる。
実は影四郎もそう思っていたのだ。

「それには訳があってだな…」
「若旦那ー!」

訳、というのは、どうも彼絡みらしい。
馬を引いた青年が歩いてきた。

『若旦那?』
「団蔵のお父上は加藤村で馬借の親方をしておられるんだ」
『へえ』
「清八どうしたの?急ぎの荷物?」
「あ、その事なんですが…綾部さん?ですね?」

清八は影四郎の顔を見てにっこりと笑う。

「学園長が呼んでましたよ」
『あ…ありがとうございます』

学園長の呼び出し…
嫌な予感しかしない。


●●●


呼び出されたのは影四郎だけだったのだが、
何故か一年は組のよいこたちもついてくる事に。

「園田村の乙名、手潟潔斎と申します」
「そりゃあ子供には見えませんなぁ」

団蔵が老人の言葉を聞いて返した言葉。
さすが一年は組と言えるだろう。

『乙名(おとな)っていうのは長老って事だよ』
「へぇ…さすが六年生」
『いやこれは常識というか…』
「みんな、オーマガトキ城とタソガレドキ城の戦の事は聞いているな」

山田先生がは組に向かって話しかけると、庄左ヱ門が反応した。

「はい。喜三太が、劣勢であるオーマガトキの方に行っていないかと心配しています」
「手潟さんの園田村もオーマガトキ領にあるんだが…」

戦に負けると、敵であるタソガレドキ軍の兵がなだれ込んでくる。
村を制圧するために食料や家財を奪い、田畑を荒らし、家々を焼き払うだろう。

『しかしはっきり言ってオーマガトキに勝ち目は…』
「そうなのです」

手潟は神妙な表情で頷く。

「そこで負けた時のためにタソガレドキの城主、黄昏甚兵衛にかばいの制札を貰おうと…」
「カバの警察?」
「かばいのせいさつ!」
『軍勢による乱暴を禁止させる事ができるんだよ』
「手潟さんは、その制札を貰えたんですか?」

乱太郎が聞くと、手潟はふるふると首を横に振った。
恐らく…言われた通りに金品を支払ったのだろうが、それでは足りないと更に要求されたのだろう。

「困り果てた手潟さんは、学園長に相談に来たというわけだ」
『…学園長』
「はっ!」

――……完璧に寝てたな、学園長
ため息をつきながら苦笑を浮かべる。

「黄昏甚兵衛は評判の悪い大名じゃからのう…」
『制札を餌に、他の村も金品を要求されているのではないでしょうか』
「それも考えられる」

それに、もし金品をタソガレドキに渡しているのがオーマガトキに見つかったら。
裏切りだと見なされ攻撃をされるかもしれない。

「一月前の激突以来、タソガレドキ軍の圧倒的有利のまま不思議な睨み合いが続いていますが…」
「不思議な睨み合い?」
「とっくに勝負が付いていてもおかしくはないんだ」

いや、むしろ付いていないのがおかしい。
それほどまでに実力に差が出ている。

「そこで、この戦がどう決着するか、両軍の印をとる必要がある」
「はい!印をとるってなんですか!」
「教えたはずだ!」

元気に手をあげて質問をする乱太郎、苦い顔をする土井先生、そして、

「勢力、兵站、戦術などを詳しく調べる事だよ」

すらすらと説明をして聞かせる庄左ヱ門。

「さすが庄左ヱ門、一年は組の委員長…っ」
『先生も大変ですね…』
「あ、だったら」

何かを思いついたらしく、乱太郎がは組を集めて何かこそこそを話している。
嫌な予感しかしない。

「「「僕たちが印をとりに行ってきまーす!」」」
「「えぇ!?」」
「許可する!」
『許可するんですか!』


…と、いうわけで、

オーマガ組…乱太郎、団蔵、金吾、影四郎。引率は土井先生。
タソガレ組…庄左ヱ門、伊助、兵太夫、三治郎、虎若。引率は山田先生。

オーマガ組は選抜隊との合流もあるため、人数は少なめだ。

『何で私まで!私だってやる事あるんですからね!』
「まあまあ」
「僕たちも喜三太を探しに行きたいです」
「印をとる事が目的なんだ。我慢しなさい」




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