崩牡丹

□兄弟だから
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「はい!お金はいらないよ!」
『払いますよ』
「いいって。倒してくれたお礼」

大男数人をものの数秒で張り倒してしまった影四郎はその後、
町人から称賛やら拍手やらがわんさかと送られた。
それほどまでに彼らは煙たがられていたのだろう。

が。

『(忍たま失格だぁ…六年生なのに…)』
「(忍者が忍ばないでどうするんでしょうね)」
『(元はと言えばお前が首を突っ込むから!)』
「(手拭いを取られたんですから仕方ないでしょう)」
「?」

矢羽音での会話は一般人には分からない。
ただ急に黙り込んでしまったように思えるのだ。

「僕の用は全て終わりましたよ」
『あっと、じゃあ薬草か…』
「薬草ならこの通りを右に行った所にいいお店があるよ」

売り子の紹介もあってその薬草屋に行く事に。
しかし、生徒は使ってはいけない薬草など、普通では手に入れられない物も頼まれた。
――頼まれた物全てあればいいのだが…


●●●


「これとこれと、あとこれね」
『全部あるんですか?』
「あるよ」

渡された紙に書いてあるであろう薬草をぽんぽんと机の上に用意する主人。
売り子の言っていた通りいい店かもしれない。

「こんなの何に使うの?専門職の人しか買わないよ」
『さあ、私は頼まれただけなので』

にっこりと微笑んではぐらかす。
面倒な事を聞かれる前に店を出ようと、影四郎は代金を渡して商品を受け取った。

「兄上、まだですか?」
『ああ今行く。それじゃ』
「またよろしくね」




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