崩牡丹

□火薬委員会の煙硝蔵
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『…』
「あぁ、また七松先輩がバレーをやってるんですね」

外から聞こえてきたのは紛れもない小平太の声。
確か今の時間は体育委員会も活動をしているはずだから、おそらく委員を巻き込んでのバレーだろう。
もし新入生がいたらかなりの確率で小平太のおもちゃにされていたはずだと考えると、
やはり一年生が体育に入らなくてよかったのかもしれない。

『……この聞こえ方…』
「え?」

――「いけどーんアターック!!!」

『! 兵助、伏せろ!』
「えっ、わ、」

ボールが小平太の怪力によりボールとは思えない威力で煙硝蔵に突っ込んできた。
ここで注目したいのは、戸が開いたところから突っ込んできたのではなく、
壁を破壊し、火薬を巻き込んで突っ込んできたという事だ。

爆音と共に煙硝蔵の中に砂埃が充満する。

『…っ……兵助…怪我はないか?』
「ええ、私は…」

とっさに兵助の上に影四郎が覆い被さったからか、兵助は土埃にまみれただけで怪我はしなかった。
が、影四郎は頭に焙烙火矢やら崩れてきた瓦礫やらがぶつかって一瞬意識が飛ぶ。

「誰かいますか…?」
「大丈夫ですか!」

もくもくと砂埃が舞うその向こう側に、数人の人影が見えた。
声から察するに体育委員会の面々だろう。

「善法寺先輩を呼んできます!」
「三之助、お前は行くな」
「僕が行ってきます」
「頼んだぞ四郎兵衛」

滝夜叉丸が後輩に指示を出しているのが聞こえるが、肝心の委員長はどこへやら。

『小平太はどこだ!!あいつのせいだろうが!』
「落ち着いて下さい影四郎先輩…」
『滝夜叉丸、小平太を捧げろ』
「いやあの…七松先輩なら外で…」
『あ?』




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