崩牡丹

□前途多難な生物委員会
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次の日…
仙蔵と文次郎の部屋で影四郎は呟いた。

『いやぁ…本当に驚いた時って叫べもしないな』
「どうした影四郎、目が死んでいるぞ」

早速。本当に早速、生物委員会で事件が発生したのだ。
と言っても生物委員会では日常茶飯事の事…

ペ ッ ト が 逃 げ 出 し た 。

『三四郎が逃げ出したのだ』
「三四郎?」
『思い出すだけで鳥肌が…っ』

三四郎は孫兵が個人的に飼っているのにも関わらず生物委員会が面倒を見ている大百足だ。
餌やりの際、見事に飼育小屋の出入り口を開けっぱなしで作業していたらしい。

『もうっ…もう…!』
「(そこで無理だと言わないところが影四郎だな)」

仙蔵は浅くため息をついた。

『捕まえたのはいいのだが三四郎が私の手に…うぞぞぞと…』
「思い出して顔を青くするな」
『そうだ、今度三四郎を見せてやろう』
「断る」

今の影四郎はこの世の真理を見たかのような安らかな顔をしているが、
もうそれには触れずにする事に決めた仙蔵。

「――あ」
『あ?』

その時、部屋に文次郎が入って来た。

「ここにいたのか、影四郎」
『何が?』
「さっきそこで生物委員会が……」

――「いたぞ!マリー!」

「…というわけだ」
『マリーかぁ…』
「マリー?」
『毒蜘蛛』
「「うげぇ」」

毒蜘蛛のマリー。やはり飼育小屋から逃げ出したのだろう。
確か子供を身籠ったばかりだと孫兵が言っていた。

『ちょっと行ってくる』

行きたくないと表情が言っているが委員長が仕事をサボるわけにはいかないし、
委員会で起こった事の責任の全ては委員長は背負うのだ。
ここでじっとしてなどいられない。




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