あなただけをいつまでも

□FILE-7 我が心に君深く
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「ただいま帰りまし…た?あれ、どうしたんですか会長」

学生会室に帰ると、残はどこか嬉しそうに笑っていた。

「どなたかいらしていたんですか?」
「あぁ、可愛いお客様だったんだが…」

ばっと扇子を広げて残は言う。

「やはり≪恋≫をすると女性は美しくなるものだな」
「?」
「もちろん女性は元々美し…」
『これを職員室で渡された』

持っていた封筒を残に渡す。
中には写真と書類が入っている。

「あ、そうでしたね!」
『ここ一週間、CLAMP学園内で異常現象が起こっているらしい』
「異常現象…?」

残の顔から笑みが消える。

「コロッセオの舞台が壊れていたり…」
『サラダボールドームのマウンドが裂けてたり…ああ、これだな』

マウンドはまるで巨大な鎌で切ったようにぱっくりと裂けていた。

「悪戯にしては質が悪いな…」

真剣な声色にしてはどこか楽しそうな残。

『言っておくが、もうCLAMP学園調査部に依頼なさったそうだ』
「え」
『…何だその残念そうな顔は』
「いや…」

途端にしょんぼりと肩を落とす残を見て、呆れ顔で柊は溜息をつく。
しかし、それでこそ残なのではないかと思ってしまった自分がいる事に、
軽く笑ってしまった。


「あ、ミサイルだ」
『ミサイル…?――本当だ』
「何ですかあれ?」

窓に駆け寄った玲。
確かに遠く離れた所にとろとろと遅いスピードで
細い何かが飛んでいる。

「あれは電子工学科が理事長の依頼で作った、小型ミサイルだ」
「ミサイルってあんなに遅く飛ぶんですか?」

今にも墜落しそうな程ふらふら飛んでいるが、
残曰くあれは特別製で、気球並みのゆっくり飛行から
音速近い飛行まで自由にコントロールできる物らしい。
さすがCLAMP学園と言える。

「あのミサイルにはカメラが取り付けてあるからな。
 きっと理事長は、学園内の視察にでもお使いになるのだろう」
『へぇー…』
「どうしてミサイルなんですか?気球とかでも…」

不思議そうに玲は言うも、やはりここはCLAMP学園。


「楽しそうだから」


という答えが帰ってくるのは当然だろう。

「さ、さすが理事長ですね…」
『……さすがというのか…?』

三人が話し込んでいる間、
蘇芳はずっと、会長机の上に置いてある藤を見つめていた。





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