あなただけをいつまでも

□特別FILE-3 乙女の祈り
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「おはようございます」
『……』

ぼんやりと目が覚める。
自分を覗いているのは、無表情な顔。

『…おはよう…』
「いつもこのようなお目覚めで?」
『そうでもない』

偲隠家の執事であるこの男の名前は知らない。
物心ついた時にはすでに傍にいた記憶がある。

『(一向に老ける気配がないな…)』
「?」
『お前、お見合いをした事があるか』
「ありません」

見たところ二十代前半。
顔は整っている。そして料理も掃除も洗濯も完璧。
もう少し愛想がよければ…といったところか。

「ああ…緊張して眠れなかったのですか」
『…緊張じゃない』


柊はこの日、嫌っている実家にいた。
その理由はただ一つ…

お見合いをするためである。








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