あなただけをいつまでも

□FILE-4 マイ・フェア・レディ
3ページ/7ページ



初等部学生会室…

『ふ〜ん……――で?その≪探偵ごっこ≫をやるのか?』

残の机の横に移動されたチョコの山を漁りながら呟く柊。
先ほど聞いた夜彦からのチョコを探しているのだ。

「当然だろう。今回は、僕に非があるんだ」

残は微笑みながら椅子に座る。

昼休み、柊がいない間に話が進んだらしい。
柊が駆けつけた時、残の傍には蘇芳、玲、大勢の女子生徒、…そして緑子がいた。

「――何にせよ、あなたのお心を傷つけたことには変わりありません」

大勢の人が見守る中、残は緑子に言った。

「何かお詫びできる手だてはありませんか?」

すると、緑子は数秒ほど何かを考えていたが…

「…確かあなた、探偵団をお作りになったとかおっしゃってましたわね」
「ええ、一応…」
「でしたら、≪探偵ごっこ≫をしましょう」

その≪探偵ごっこ≫というのが、緑子が隠したものを制限時間内に探し出すというもの。

「…もし探し出せなかったら」
「初等部学生会長を辞めて頂きます!」
「ええぇぇえぇえ!?」


………
……


「でも無茶ですよ、会長をお辞めになるなんて!」
「まだ辞めると決まったわけではないがな」

残は苦笑する。

「それにしても…極端な人ですね」
「京極さんか?まぁちょっと気が強くて…クラスでもよく論議の的になっている様だがな」
「いつもあの調子なんですか?」

眉根にしわを寄せ、蘇芳は残に聞いた。
緑子のやり方が気に入らないのかもしれない。

「よく噛みつかれてはいたが…」
「会長はあの人をかばったのに…」
「それでも、元凶が僕だと言う事に変わりはない」

残は軽く笑った。
するとその時、

『あった!!!』
「……柊?」
『よかったよかった…あ、何の話だっけ』
「会長がやめるかもしれないと…」
『あー……そうか』

夜彦からのチョコを大事そうに抱えながら考える事数秒。
当たり前だろうと言わんばかりに柊は残を見据えた。

『私は…今回は京極さんの味方をしたい』
「柊先輩!会長が会長じゃなくなっちゃいますよ!」
『…でも…ああ……うん…いい機会だ、言っておこう』

言いながら学生会室の扉の方に歩いていく柊。
残たちの方からは表情は見えない。

『女性の味方が聞いて呆れる…女の気持ちなんて分かってないくせに』
「柊さん…」
『残のそういうところ、嫌いだ』
「……」

背中からは静かな拒絶を感じる。
3人は何も言えず、学生会室を出ていく柊が出て行くのを見ていた。

「…き」
「会長…」
「………嫌い……って…」
「か、会長、元気出してください…」





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ