あなただけをいつまでも

□FILE-3 迷走迷路
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『ふぁあ…あ』

最近変な夢を見ているような気がする。
しかし目が醒めた時には何も覚えていないのだ。

夢を見ているせいか疲れもよくとれない。
目が醒めた時に息があがっている事もある。

何故か…
ただの夢だろうとは思ってはいるが、変な予感がするのだ。
嫌な予感ではない…何か、変な胸騒ぎ。






FILE-3 迷走迷路






『眠い…いやしかしな…』

今日、残は大学部物理学科の定例研究発表会に出ているし、
蘇芳はガメラ館で柔道部の模範試合に出ている。
もちろん蘇芳は柔道部ではないのだが、柔道部に蘇芳より強い生徒はいないのだ。
そして玲は、残が昨日CMを見て「食べたい」と呟いていたお菓子を作っているようだ。
一時間ほど前に家庭科室に行ってしまった。

あのお菓子はメーカーが半年かけて作り、
おまけに特許出願中だったはずだが玲なら作れるだろう。


簡単にいえば、柊は留守を任されている身だ。
一時間前から誰一人こないとはいえ居眠りをするわけにはいかない。

するわけにはいかない…のだが、
本人からしても不思議なくらいの異常な眠気が襲ってきた。

『なに…が…』

何が起こっているのか、考えようとしても頭が働かない。
そういえば先ほど玲が淹れたコーヒーがある事を思い出し、席を立ってとりに行こうとした。

しかし、膝に力が入らない。
たった数歩だけ歩いただけで床に膝をついてしまった。


――まるで催眠薬を盛られたみたいだな…
頭のどこかで他人事のように思っている自分がいた。






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