あなただけをいつまでも
□FILE-2 探偵
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〜CLAMP学園・理事長室内 庭園〜
とても広く、屋外ではないかと錯覚させる壁と天井。
どこからかししおどしの軽やかな音が鳴り響いた。
「先日、品の良さげな御婦人からお礼の電話がありました」
着物を着て優雅に微笑む女性――CLAMP学園理事長は、
向かいに正座している残に言った。
「何やらお困りだったその御婦人に、わが校の生徒がお力添えをしたとか…。――名乗ることもしなかった
ようですが、来ていた制服でこの学園の生徒と分かり、わざわざお電話してこられたそうです」
そばにある桜の木から数枚、花弁が散り、残の前に落ちる。
「残さん。……あなたとあと三人、初等部の学生会役員の面々だったようですね」
「……≪女性≫のお役に立つのは、僕らの義務です」
「我が校の生徒が、校外の方のお力になるとは頼もしいこと」
理事長は言いながらパフェを差し出した。
「書記の鷹村蘇芳、会計の伊集院玲、そして会長秘書の偲隠柊。非常に優秀な生徒のようですね」
「僕が選んだ、最高の人材ですから」
「…よほどお気に入りなのですね」
特に…と、理事長は付け足す。
「柊さんは、別の意味でもお気に入りなのでしょう」
「……はい。さすが理事長ですね」
苦笑する残。
「…知力・体力・時の運。すべてのデータに置いて、三人に勝る者はいません」
残の言葉に、理事長は「ほほほ」と上品に笑いをこぼした。
「その初等部学生会役員を見込んで、ひとつ頼みたいことがあるのです」
「……なんなりと。理事長」
FILE‐2 探偵
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