小説

□届かない恋
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「あのね…私の好きな人、吉川くんなんだ」



同じクラスの塩田がそう教えてくれた。







『そ、そうなんだ…応援、するね』





無理をしてまで笑顔を作った。





吉川は、あたしの好きな人でもあった。




けどあたしはそのことを誰にも言ってなくて自分でしまい込んでた。





あたしも好きになった時友達に言ってればよかったかな…………。






なんて、今更後悔。






その日、たまたま帰りが重なって吉川に会った。





『吉川、一緒に帰んない?』



「急になんだ?気持ち悪いな」






こんなことできるのも最後だろうし。






『ねぇ…吉川好きな人できたの?』



「………別に」



『いるんでしょ?』



「馬鹿かお前。……お前こそどうなんだ」






………言ってしまおうか。






『いるよ。無愛想で、スポーツにしか興味ない奴だけど思いやりがある人』






それを聞くなり黙り込んだ。




気づいたり、した?





「……変な奴だなそいつ」






………お前だっつーの、バーカ。






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