龍 神 の 詩 −暗鬼編−
□龍神の郷 - 一章 天駆へ
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与羽(よう)は乱舞(らんぶ)と話し合って集めた男女を前に、右ひざを抱いて考え込んだ。
彼女の隣では、乱舞が彼らを集めた理由を話している。さきほど与羽にしたのと、ほぼ同じ内容だ。
ここにいるのは、与羽と乱舞を含めて八人。
ふたりで考えた結果、この人数まで絞ることができたが、まだ多い。
乱舞いわく、理想は二、三人なのだそうだ。
与羽はため息をついて、車座になった自分以外の七人をゆっくりと見渡した。
与羽の右にきちんと正座する乱舞は、穏やかにほほえみながら身振り手振りを交えて話し続けている。
その隣に堂々と座る長身の青年――九鬼大斗(くき だいと)は与羽の視線に気付くと、色っぽく笑んでみせた。
それにむっとしてさらに隣の女性を見ると、彼女は口元に笑みを浮かべ片目をつむる。
その隣、この中で一番若い少年は神官だ。彼は軽く会釈してくれた。
その次が、与羽の側近、雷乱(らいらん)。
大柄な彼は与羽の視線に片眉をあげて応え、さらに隣の比呼(ひこ)は小さく右手を上げる。
そして次が与羽の左隣。幼馴染の辰海(たつみ)。
彼は与羽が見る前から彼女を見ていたため、さりげなく隣を見上げた与羽は、まっすぐ辰海と目を合わせるはめになった。
視線が激しくぶつかって驚く与羽。
その反応を見て、真顔だった辰海はやっと笑みを浮かべた。やさしく穏やかな笑みだ。
しかし、与羽はその顔から思わず目をそらしてしまった。むっとした顔で。
その時、乱舞がやっと話を終わらせた。
「それで、ここまで絞ったのはいいんじゃけど、ここから先は本人たちに決めてもらおうと思う。
自薦、他薦、棄権。何でもいいけ、意見を言って」
与羽ほどではないものの、なまった口調でそうしめた後、乱舞はいつもの人好きのする笑みを浮かべて一人一人の顔を見ていく。