龍 神 の 詩 −嵐雨編−
□龍姫の恋愛成就大作戦 - 終章
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「うがあぁ! 終わった!!」
そう奇声じみた声をあげるなり、与羽(よう)は持っていた筆を投げ出し書類が散乱しているにもかかわらず、机に突っ伏した。
ただし、絡柳(らくりゅう)が墨が乾いていない紙を素早く取り除いたので、汚れることはないだろう。
「お疲れさま」
辰海(たつみ)が、とびっきりやさしい笑みを浮かべてそう声をかける。
両腕に顔をうずめた与羽の視界に入ることはなかったが……。
「本当に終わりですよね?」
少し机に伏せて休んだ後、与羽はわずかに顔をあげて絡柳を見上げた。
「『実は――』とか言って懐(ふところ)から何か出したりしませんよねっ!?」
与羽の言葉に、絡柳は淡い笑みを浮かべながら肩をすくめる。
「実は――」
そう言いつつ、絡柳の手は自分の袖の中へ――。
ばっと起きて身構える与羽に、絡柳は小さな紙包みを手渡した。
「?」
書類にしては小さく、着色された淡い黄色の紙が巾着のような形で閉じられている。
「開けてみな」
絡柳に言われて、与羽が絞って糊(のり)づけされた口をそっと開いた。
中にはさらに桃色の紙に包まれたもの。そちらは糊づけされておらず、簡単に開くことができた。