龍 神 の 詩 −嵐雨編−

龍姫の恋愛成就大作戦 - 四章 龍王、惑う
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「何やってんの? お前」

 乱舞(らんぶ)を見た大斗(だいと)は、陳列途中の大根を片手に持ったまま乱舞を睨みつけた。

「『なに』って、せっかくの休みだから大斗の様子でも見ようかと……」

 大斗の冷たさにひるんで、乱舞の言葉はだんだんと小さくなる。


「俺は忙しいんだ。

 ちなみに、絡柳(らくりゅう)はこの二日、与羽(よう)の補佐をしてるだろうし、一鬼(かずき)道場に行くのは俺が許さない。

 それよりも行くべきところがあるだろう?」


「…………」

「紫陽(しよう)の所へ行きなよ」

 乱舞が沈黙していると大斗が確定的に言った。

「けど――」

 反論しようとするが言葉が出ない。


「なに? お前は紫陽(しよう)に会いたくないの?」

「会いたくないことはないけど……」

「じゃあ、行けばいい」

 大斗はそっけない。

「でも、忙しかったりしたら――」

「紫陽は今日から三日休みだよ。与羽と絡柳が漏日(もれひ)大臣に打診してたからな」


 文官第三位――漏日の時砂(ときすな)は中州の文官・武官・地方官・準吏、全ての人事を統括する大臣だ。

 彼の署名一つで全ての官吏の出勤・休暇位なら自由に変えられる。罷免・異動となると城主やほかの大臣の承認が必要になってくるが……。
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