短編集
□Sugar Magic
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* * *
「一度確認しておく」
場所を改め、街の酒場。
もともと彼らは、依頼人とそれを引き受けた者という関係だ。
依頼人は、製作した武器を使って、その感想を教えて欲しいと言う武器職人のサック。
それを比較的安全で、報酬も悪くないと引き受けたのが、片手で頭を抱える魔道戦士――ローデンドだ。
「何なりと、ロード」
酒がなみなみと注がれた銅のカップを惚れ惚れと眺めながら、サックは言う。
「まずは、気安くロードと呼ぶな!」
拳でドンとテーブルを叩いたが、武器職人は動じない。
「はぁ……」
ローデンドは目の前に置いてあったカップ内の酒を一気にあおると、力尽きたようにイスの背もたれに体重をかけた。
古びたイスは、きしみつつもその体重を受け止める。
もう一度大きく息を吐くと、安っぽい酒の風味が広がった。
今日は数点の武器を試用しただけにもかかわらず、ひどく疲れた。
「お前は、本当に武器職人なんだよな?」
怒鳴る気力も失せつつある。
「そうっすよ」
安酒を大事そうにちびちびやりながら、サックは答えた。