短編集

□Sugar Magic
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「ガム・ブレード!!」

 一閃。

 鋭く振られた長方形の剣は、狙っていた丸太を刃の中央で見事に捕らえ――。

 真っ二つにはじけ跳んだ。


「おお〜」

 放物線を描く薄ピンク色をした剣の残骸を見上げながら、傍観(ぼうかん)していた男が感心したように声を上げた。


「『おお〜』じゃない! このへっぽこ武器職人!」

 べチンと長さが半分になった剣の腹で男の頭を叩くが、その音に金属らしき要素はまったくない。

 しかも、一度大きく曲がった剣は、元に戻らず曲がったままだ。

 しなやかさは皆無。


「お前が試してみろと言うから、使ってみてやったが、これじゃぁ俺がすべったみたいだろう!」

 曲がった剣を律儀(りちぎ)に手動で直し、もう一度男の頭を剣の腹で叩く。


「う〜ん。やっぱりストロベリーガムじゃなくて、ミントにするべきだったか……。

『すっきりさわやかに魔物を撃破! 新発売ミントガム・ブレード』決まりっすね」

 叩かれた男に痛みはないのだろう、ぽんと拳を手のひらに打ちつけ、にっこり笑っている。


「そういう問題じゃない!」

 三度(みたび)男の頭を叩いた剣は、つばからちぎれて飛んでいった。
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