月と桜と人魚の哀歌

□第十四幕
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喝入れの後、リクオは手際良く組の妖怪達に指示する。

先ほどの自分との態度の豹変さに、ごんべえは驚くばかりであった。

だが今は自分の役目を全うするためにリクオにくっ付いていた。

しばらくすると、首無と青田坊がリクオの下にきた。

どうやらパトロールをするらしい。

その時、ごんべえの背筋に何か冷たいモノが走った。



「名無しのさん、今からちょっとパトロールに行ってくるから雪女と一緒にここに居て」
「っ」



ひしっとごんべえはリクオの羽織りを掴んで首を勢い良く左右に振った。

その必死さにリクオは驚きを隠せなかった。



「ボクについきたいの?」
「…(コクン」



真剣な瞳で見つめてくるごんべえを見て、リクオは何を言ってもついてくるつもりだと分かった。

そしてリクオは観念したかのようにため息をついてた。



「分かった。でも、絶対ボクから離れたらダメだからね?」



それを聞いたごんべえは安心したような顔をして、リクオの羽織りから手を離した。

その後、またあの冷たさがきた。



何やら嫌な予感がしてならない。



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