月と桜と人魚の哀歌
□第七幕
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あれからずっと清継から妖怪のいろはというものを教えて(一方的に)、
ようやく帰れると思ったらあたりはもう夕方となっていた。
ごんべえはすこしくたびれた様子でリクオの護衛のため、リクオとカナと雪女と帰ることになった。
「ごんべえもこっちの方向なの?」
カナの質問にコクンと頷いた。
「じゃあ今度一緒に遊ぼう!!」
ごんべえはすぐに首を横に振った。
これ以上人間とかかわるなんて真っ平だ。
「えー、なんでー?」
遊ぼうよと迫ってくるカナから逃げるかのようにごんべえはリクオの隣に移動した。
すると雪女が鋭い目つきで睨んできる。
「リクオ様。なんですかこの女・・・出会って間もないリクオ様にこんなに馴れ馴れしくぴったりと・・・」
「いや、氷麗・・・。名無しのさんは・・・」
「怪しいことこの上ないです!!」
雪女はリクオの言葉も耳に入らず名無しのを物凄く警戒している。
リクオはぱっとごんべえを見た。
ごんべえは大きな瞳でじっとリクオを見つめ返した。
マスクを付けているため表情は分からないが、その瞳にはまるで特に気にしていないと言っているかのように思えた。
「それにしても、あー疲れた!!ずいぶん長く語ってたね〜清継くん」
カナは伸びをしながら前を歩いていった。
「だねー。日が長い季節で良かったね〜」
リクオのそんな言葉と裏腹に、後ろで護衛を勤めている首無と河童、毛倡妓は暇そうにしていた。
そんなこんなしているうちにいつの間にか雪女はカナがリクオ(夜の)に恋をしているということに気づき、
リクオに詰め寄っていた。
「さぁ〜何したか白状して下さい!!私ごはん作って待ってたんですよ!?」
ごんべえは面倒くさくなってきたので少し後ろの方へと後ず去った。
だが、どんっと何かにぶつかった。
「?・・・」
「ん?」
後ろを振り向くそこにはとてつもなく大きな男子生徒が居た。
てか大きすぎるだろと思いながら、ごんべえはとりあえず小さく謝罪のために礼をしてどいた。
するといつの間にか、雪女とカナの間に火花が散っている状況になっていた。
それをリクオが必死に止めようとする。
だが、その時いきなり嫌な悪寒がごんべえの体に駆け巡った。
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