月と桜と人魚の哀歌

□第三幕
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カナはあれから、あの百鬼夜行の主を探していたが、なかなか会うことは無かった。


「はぁ〜・・・昨日もあの人に結局会えなかったなぁ〜・・・」


憂鬱なまま学校に着き靴に履き替え、教室へと向かった。

すると後ろから肩を軽くポンポンと叩かれた。


「え?」


と振り向いてみたら、ブレザーを着た女子生徒が立っていた。

あきらかにここの制服ではない。

背は自分よりも小さく、風邪予防用のマスクをつけている。

そこから大きくパッチリとした瞳が覗かせており可愛らしい。


「(て、転校生?)あ、あの・・・どうしたんですか?」


「・・・・・・」


カナが話しかけても、生徒はただ黙って見ていた。

するといきなりスケッチブックを鞄から取り出し、サインペンで何か書き出した。


「??・・・」


カナはわけも分からずただその作業を見つめているといきなり生徒はスケッチブックをぱっと見せた。


「え?」


カナはそのスケッチブックを読み上げた。


「“職員室はどこですか?”」


「・・・」


すると生徒は小さくコクンと頷いた。

その姿に思わずカナは可愛さを感じた。


「えっとね、ここをまっすぐ行って、右に曲がったところにあるよ?」


カナがそういうと生徒は小さく礼をして、そのまますーっと歩いていった。

その後姿をカナはポケーっと見送った。




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