雷の行く末は…

□手がかり
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──俺ぁ仕事が山積みだからすぐ中央に帰らなきゃならん──


──私が東方指令部を離れる訳にはいかないだろう─


──大佐のお守りが大変なのよ──


──あんなやばいのから守りきれる自信無いし──


  ──以下同文──






(だからって……







なんでこのおっさんがついて来るんだよ………)



エドは真っ青な顔になって変な汗を流しまくっている。よっぽどアームストロング少佐の護衛が嫌なんだろうか。



『エドー、少佐ー。そこに売店があったからリンゴ買ってきたぜ。』

「おお、これはリオ殿かたじけない。」

『ん?どうしたエド。もう乗り物酔いか?』

リオンはエドの前の席に座った。


「ちげーよ……なんでオレ達の旅に護衛が必要なんだよ…」


『そりゃしょうがねーだろ。お前錬金術が使えないんだから。』

「だからってなんで少佐なんだよ!!」

『他の人達は忙しいって言ってただろ!少佐だって忙しい中来てくれるんだからわがまま言うなガキ!!』


「Σガッ!ガキって言うんゃねー!!」


「こらこら、列車の中で騒ぐんでないぞエドワード・エルリック。」

「少佐も子ども扱いすんなー!!」


 ギャーギャーギャー…




『…はぁ…やれやれだぜ。』




  《コンコン》


窓ガラスの向こう側からヒューズ中佐が呼んでいた。


「ヒューズ中佐!」

「よ。指令部の奴らやっぱり忙しくて来れないってよ代わりに俺が見送りだ。」

『ありがとよ、ヒューズ。』

「そうそう、ロイから伝言をあずかって来た。」

「大佐から?」

「 [事後処理が面倒だから私の管轄内で死ぬ事は許さん] 以上。」

「 [了解、絶対てめーより先に死にませんクソ大佐]って伝えといて。」

『あっはっは!あいつらしいや。』

「Σ笑うな!!」

「リオにもあるぞ。」

『私にも?』

「 [お前が暴れると街が崩壊しかねないからおとなしくしているように] だ。」

『 [首を洗って待っていろよクソマスタング!] って伝えといて。』

「人のこと笑えねーじゃん。」

『Σうるせぇ!』


「あっはっは!憎まれっ子世にはばかるってな!おめーらもロイの野郎も長生きすんぜ!」



   《ボッ》

  《ピリリリリ…》


その時、汽笛とホイッスルの音が鳴った。それは出発の時間の合図を意味している。


「じゃ道中気をつけてな。中央に寄る事があったら声かけろや。」

中佐は《ピッ》とエド達に敬礼をした。

リオンと少佐は笑顔でエドは左手で敬礼をしイーストシティを去った。



 《ガタンタタン…》



「我輩は機械鎧の整備師とやらを見るのは初めてだ。」

『少佐に同じく。機械鎧の整備師って一体どんな奴らなんだ?』

「正確には外科医で義肢装具師で機械鎧調整師かな。昔からのなじみで安くしてくれるしいい仕事するよ。」


『うわぁ…その仕事大変そうだな。』


「その整備師のいるリゼンブールとはどんな所だ?」

「すっげー田舎。なんも無いよ。つーか東部の内乱のせいで何も無くなっちゃったんだけどね。


軍がもっとしっかりしてりゃにぎやかな町になってただろうなぁ。」


「…耳が痛いな。」

「そりゃいいもっと言ってやろうか。


…本当静かな所でさ、何も無いけど都会には無いものがいっぱいある








それがオレ達兄弟の故郷
リゼンブール。」


エドは窓の外の景色を眺めながら言った。その表情はまるで家族に帰る安堵の顔だ。



  (家族……か…)

リオンの脳裏に家族の言葉がよぎった。


「ところでアルはちゃんとこの汽車に乗せてくれたんだろうな。」

「ふっふ──ぬかりは無いぞ。」

少佐はあごを手にかけキラリンと輝いた。そして…


「一人じゃさびしかろうと思ってな!」


アルは家畜車両にいることを告げた…

「てめぇオレの弟をなんだと思ってんだ!!」


『アル……御愁傷様…!』


「むぅッ 二人して何が不満なのだ!広くて安くてにぎやかでいたれりつくせりではないか!」


「ふざけんな─────っ!!!」



 ギャーギャーギャー…








エドが騒ぎまくっているので一緒にいる乗客がリオン達の席をみた。





  一人除いて…




彼女はリオン達を見ることなくほほえみながら新聞を読んでいる。




その彼女の胸にはウロボロスの入れ墨が入っていた…

  
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