翼の行方
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「・・・・・・」
広間へ入ると、千鶴と沖田が山南に説教されていた。
彼は入ってきた僕を横目に見た後、そのまま話を続ける。
《だいぶお冠みたいだね》
《・・・だな。千鶴はとばっちり・・・というわけではないのか。止めなくてもいいのか?》
《無駄な気力は使いたくない》
《・・・そうか》
音をたてずに平助の隣に腰を下ろす。壁にもたれかかり息をつく。
やはりつらい。
倦怠感が身体につきまとっている。この時期はいつもそうだ。
揺らぐ視界を閉じて、微かな変化さえ見逃さないつもりで感覚を研ぎ澄ませる。
《大丈夫か?》
《平気・・・》
肩から膝元に移動した焔の問いかけに目を閉じたまま答える。
その間にも、山南と幹部による沖田への追及は続いていた。
「・・・・・・」
いい加減、辟易してきた。
壁から背を離して中央を見遣る。
これ以上山南がなにか言うようであれば口を挟むつもりだ。
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