翼の行方
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「ここが、京の都・・・・・・」
隣に立つ千鶴から、ほう、と感嘆の息が洩れた。
千鶴とは別の意味で、梨央も目の前の光景に息を呑んだ。
「・・・・・・これは・・・」
我知らず出た呟きを、左肩に乗っている焔が続けた。
《・・・雑鬼が多いな》
「多いなんてもんじゃない・・・・・・」
多すぎる。
梨央の妖気に引き付けられたのか、わらわらと、出るわ出るわ。
思わずため息をつくと、今まで市中に見入っていた千鶴がこちらを向いた。
「梨央、どうしたの?疲れた?」
首を傾げる仕草は可愛らしく、男装していても男に見えない。
口許が綻ぶ。あのときから、少しも変わらない
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