シリーズZzz
□会長様が見てる8
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恋心とは
こうも確率を狂わせるものなのか
会長様が見てる8
片倉に言われて初めて、自分が突拍子もないことをしたことに気づいた。
夕暮れの、緋色の光が入る生徒会室には、さっき片倉を使いに出したから俺しかいない。
窓際の、いつも草原が座る席にはまだ道具が置きっぱなしになっている。
電卓を使わずに計算したあとや、さっき俺が黒板に書いた文字をメモしたあとに彼女を思い出してふと笑みがこぼれた。
「嫌われていたら…さて、どうするか。」
ノートの表紙に律儀に書かれた名前を指先でなぞる。
好かれるような行動を確率で弾き出すか?
好みのタイプを友人達から聞き出すか?
そんなこと今、恋心という不確定要素の入った俺には到底できそうにない。
「そんなことをするまえに、寝込んでしまいそうだ。」
草原陽という油性ペンのインクには確かに手は届く。
あんなに自信のありそうな言葉を吐いてはみたものの、不安が俺をおおいつくしていた。