シリーズZzz
□会長様が見てる9
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思っていたよりも数段早い展開に
俺はただただ口角をあげるばかり。
会長様が見てる9
「俺も気が利くよなー。」
印刷機はコピー機ではなく、輪転機なので、多少の掠れはあるものの均一の素早いスピードで、先輩達の門出を祝う段取りを紙に刷り終わってしまった。
薄い紙が折り重なったそれは、いつの間にか重たくなって、男の俺でも、一人で運ぶのはしんどそうだった。
「ま、あの二人の為にも時間つぶさなきゃだし、先に戸締まり消灯点検でも行くかなー。」
日の落ちてきた学校は、どことなく物悲しい雰囲気を出していて、なんとなく寂しい。
その校舎でぽつりぽつりとついていた、教室の電気を消して回る。
まだ電気のついた教室を覗いてみれば、そこには白い頭の見慣れた顔が臥せっていた。
「おーい、詐欺師、下校時刻だぞー。」
「おお・・・会長じゃ。」
今まで寝こけていたであろう彼は、ぼんやりとした表情で俺を見て「悪いの」と一言述べた。
「こんなとこで寝てたら可愛い女の子に襲われちゃうんじゃないか〜!?」
電気の消灯を確認する為に、教科書が入っているのか分からないくらい、うすっぺらい鞄を準備する仁王に話しかける。
「そんな夢のような事はなかなか。」
へらっと笑いながら答えてくれる分、こいつも良いやつだ。
「いやいや、夢のようなことだってあると思う!いや、いまおこっている!」
生徒会室でな!という俺の言葉に仁王はぴくりと反応した。