柳君とZzz
□掠め霞め
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秋になるとにおいが掠めて。
私の鼻は目はそれ一つしか追いかけていなかった。
掠め霞め
なんといい香りでしょう。
この匂いが何日間かしか持たないのが悔しい。
私はこんなにも愛しているのに。
私の目は橙色の花を探す。
紺色のこの制服に映えるような。
そんな私の鼻を邪魔する香りが。
「何の匂い?」
金木犀ほど強くなく、けれど私も心をざわつかせ、落ち着かせてはまた私を襲う香り。
金木犀が香る。
でも違う匂いも香る。
「どこかで嗅いだこと・・ある気がする。」
庭に向かって歩けば金木犀の匂いがよけい香る。
するとあの匂いが遠ざかる。
「・・・邪魔されてる気分。」
こんなに好きな匂いが今はもどかしい。
どこなの?