柳君とZzz
□また会う日まで
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いつも通っていた道には俺と彼女の靴音しかしない。
また会う日まで
別れようかといわれたのは冬のことだった。
あまりにも突然なことで、別れる気などこちらにはさらさらなかった。
「蓮二のことは今もずっと好きだよ?嫌いになんて絶対ならない。」
なんでかと問い詰めれば何のことはない、家庭の事情で神奈川からはとても通える距離ではないところにひっこすのだという。
「私が待つのはいいの、けど、もしかしたらもうずっと会えないかもしれない。並んで一緒に歩けないかもしれない。」
二人ともまだ遠い距離に耐えられる自信はなかった。また、耐えさせる自信もなかった。
ことさらこの涙を見た後は苦しい思いは一度ですっきり終わらせてやりたかった。
そして今日、俺と陽が彼氏と彼女と呼べる最後の日、出発の日となった。