柳君とZzz
□雨上がりの日に
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今更になってこの傘を持つことの重要性に気づいてしまったのです。
われながら・・・遅い。
雨上がりの日に
昨日までの雨は嘘みたいに晴れて外は水溜りに反射した光でキラキラしている。
まるで昨日私が柳君と一緒に帰ったのが嘘のように。
でも
「嘘じゃないんだよなぁ。」
片手に持った傘は明らかに私のものではない深紅の番傘。
こんなものをさしている学生さんなんて日本中探してもきっと一人しかいないだろう。
そう思いながら学校の近くまでやってきたとたん。
「草原さん!その傘どうしたの!?」
過剰に反応する女生徒諸君。
「あの、これは、」
そうでした。彼は人気者でした。
そうやって、しどろもどろになっていたその時。
「随分と騒がしいな。」
耳に心地いいその低音の持ち主こそがこの傘の持ち主。
私はわらにもすがる思いで頭の中でお願いする。
どうか柳様!上手くごまかして!