月下美人の庭
□初恋シャンプー☆
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「宍戸って髪綺麗だよなー。」
よく、そう言われる。
でも別に、特に何かしてる訳じゃない。シャンプーだって、気にせず其の時安いの買うし。しかも長いし、結構傷んでるんじゃないかと思うけど、違うらしい。
嗚呼でも、女みたいに髪を気にする様になるなんて――…。
『初恋シャンプー☆』
「亮ちゃん、二つ縛りしよーよー♪」
「は?」
「よーしガックン、亮ちゃん押さえてて!」
「なっちょっ…おいジロー、向日!」
髪が長く、よく仲間にいじられる俺。正しくは、いじられてるのは髪なんだけど。
クラスの女子からゴムやらピンを借りてきては、俺の髪で遊ぶ。
「ったく…。」
髪をいじられるのは、実は正直好きじゃない。女みたいにされるなら、尚更。
でもそう邪険にも出来なくて、何時もされるがまま。
でも、そんな“何時も”が変わった。
スルッ…
今まで二つに別れていた髪が、また一つに戻る感覚。