向日葵の庭

□唇で殺せ!
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…可愛い、とか、思っちまった。











【Side:S】





かったるい授業を終え、俺は部室へと走った。SHRはサボったから、一番乗り…に、なる筈だったのに。










「…天下の跡部様が?」




ソファに横になって寝息を立てている、跡部景吾の姿が在った。
言うのは二回目だけど、俺はSHRをサボった訳で…だから今此処で寝てるって事は、跡部も何かサボったって事で。









「顔綺麗だけど…やっぱ寝顔も綺麗だな、性格はアレだけど。」




跡部の寝顔なんて、そう拝めるモノじゃない。近付いて観察してみる。





「……。」





白い肌、色素の薄い髪、長い睫毛、少し開いた紅い唇…碧い目が見えないのは残念だけど。





「綺麗っつーか…可愛いな、跡部。」





何だか跡部の新たな一面を知った気がして、少し気分が良い。普段はあんなでも寝顔は可愛いなんて、あぁやっぱ子供なんだよな…とか思う。







「おい跡部、もうすぐ部活だぞ。」




肩に手を掛けて揺すってみても、眉を寄せるだけ。手強い。





 













「あーとーべー!」


「……ん、…」





さっきより大きな声で呼び強く揺すると、小さな声を洩らしてやっと碧い目が見えた。








「やっと起きたか、もう部活始ま「……宍戸、」

「え、」


















―――ちゅ。






名前を呼ばれて、腕を軽く引かれて。
唇が、重なって。






























「―――っ!?」



「ん……。」





腕を振り解き後ずさると、跡部はまたソファに倒れ込んで夢のの世界へと旅立った。










 
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