向日葵の庭
□夢、君に逢いたい。
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最近、定期的に同じ夢を見る。
自分独りの映画館。
スクリーンに映るのは、幼き日の自分の姿。
淡い桃色の華を咲かせた大木の下、自分は
『照れた様に』
『嬉しそうに』
微笑っている。
『誰かが俺に、「約束だぞ!」って言うんだ』
『俺が誰かに、「約束だぞ!」って言うんだ』
『そして俺は、「あぁ」って返事をする』
『そして誰かが、「あぁ」って返事をする』
『だが、』
『でも、』
『相手の顔がぼやけて、誰か判らない』
『確かに見覚えの有る場所なのに、判らない』
唯一つ、判る事は。
『18歳の春に其処で逢うと、大事な奴と大事な約束をした筈なんだ』
そして今日も俺は、“大事な奴との大事な約束”を思い出せない――…。