long novel

□孤悲に溺れる夜〜外伝〜
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今回の任務で、彼の特技をもう一つ発見した。
どんなに遠くからでも美人を発見する能力だ。
”鷹の目”と呼ばれる私ですらわからなかったというのに。
貴方の頭はまるで美人探知器みたいですね。
恋人といる時くらいその能力は封印していただきたいものです。
嫌味たっぷりに
「あんなに遠くからよくわかりましたね」
と言えば、慌てた様子で
「そんな理由じゃないぞ」
なんて言っているけれど。
「そんな理由とはどんな理由ですか」
言い返したら、彼は沈黙してしまった。

なによ、わかっているんじゃない。

もう少し、隣にいる”恋人”に気を使ってください。
貴方には物足りないかもしれませんけど。




◇◇◇◇

やってきたのはルーレット。
見たことはある、という程度の私は彼がチップを交換するのを黙って見ている。
先程のポーカーとは違うチップを使うらしい。
ずいぶん慣れた様子なのはこういう場に来るのが初めてではないからだろう。
その時はどんな人と一緒だったのか。

嫌な想像をしてしまいそうになって、慌てて他の事を考える。

例えば先程ポーカーにいた男。
一見しただけでは人の良さそうな雰囲気を纏っていたけれど。
瞳の奥には何もなかった。
何も映さない瞳を私はよく知っている。
かつて私もそんな目をしていた事があるから。
あれは、人殺しの目だ。
私たちと同じ。

向こうは気づいただろうか。
私たちの正体に。
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