短編

花魁情緒粉砕事件
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「ふ〜。つっかれた〜」
「お、銀ちゃんおかえりヨ」
「銀さんおかえり」


くたくたで仕事を終えて日輪の店に戻ると、玄関で靴を履いている神楽と晴太に会った。


「あれお前先帰ってたの」
「大分前にヨ。新八も帰って来てるアル」
「飯は?」
「晴太と先食べたネ。」
「晴太と?新八は?」
「新八はちょめちょめ中ヨ」
「ちょめちょめ!?どういう事!?」


新八とそういう関係にある俺には聞き捨てならない話だ。


「一緒に帰ってきたら新八だけ姉御達に呼ばれて部屋から出て来ないアル」
「何ィィ!!?いやでも新八だし…」
「私は晴太と遊びに行って来るネ。行くヨ晴太」
「おう!行ってきまーす」


バタバタと外へ出て行く元気爆発なガキ共を見送って、店に上がろうと靴を脱いだ。


「あっ銀さん帰ってきたの!」
「ほんと!ちょうど良いわ!」
「は?」


奥の部屋から出て来た遊女達が俺を取り囲んだ。


「タイミング良いわね〜!」
「これ銀さんのお昼よ」
「え、なんで今ここで渡すの。玄関だけど。しかもなんで2食分?」
「ふふ。これは新八君の分よ」
「新八の?」
「これ持って1番奥の部屋に行ってみて」
「奥の部屋?」
「1番奥だから何しても分かんないわよ」


遊女達はくすくす笑って廊下を歩いて行った。


「……なんだ?」


疑問に思いながらも両手に昼食を持って奥へ向かった。


1番奥の部屋は襖が少し開いていたので足でさっと開けた。


「入るぞ〜。……と…」
「えっ!わ!」


広い部屋にはぽつんと1人新八が居た。


「し…新八…」
「えっ、あれ!?銀さん!?おかえりなさい…」
「た…ただいま…。つかお前何その恰好ォォ!?」


新八はここの遊女達が着ているような高価で綺麗な着物を着ていた。

遊女仕様なのか白い肩が見えている。


しかもキラキラな髪飾りで前髪を上げている。


「こっ、これは違うんですゥゥ!!」
「なにがっ!?」
「遊女さん達がいきなりこれ着てあれ着てって!それでっ…!」
「遊女達が…」


だからあんな事言ってたんか……ありがとう!


「ま、ま〜似合ってるからいんじゃね」
「ええ!似合ってても嫌なんですけど」
「まあまあ。これお前の昼飯。」
「ありがとうございます」


新八の前にある小さな机に飯を置いた時、ふわっと高い香水のような匂いがした。


新八と不似合いなその匂いになんかムラムラする。


つかその白い肩とかヤバいだろ!いつも隠れてるおでこも出てて可愛いし、緩い着物でうなじも丸見えェェ!!


昼飯の前にお前食べて良いかなほんと。


「銀さん?」
「……飯食うか。」
「はい」







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