短編

□俺の着流しはせっけんの匂い
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布団にもぞもぞと入り、まだ布団に座っている銀さんを見上げる。


「なるべく動かないで寝て下さいよ?」
「俺寝相悪くないじゃん」
「そうですけど…」

銀さんは寝転ぶ僕に手を伸ばし、僕の前髪を優しく梳いた。


「…ほんとに今日シないの?」
「いや、昨日もシたんですからね!?腰痛いんですよ」


いやに優しい手つきだから、何かと思ったらこの変態はっ。


「銀さんギンギンで準備万端だったのに」
「トイレ行って下さい」
「新八が居るのに妄想おかずにできるわけないじゃん」
「おかずとか言わないで下さいよっ!もう!」
「む〜」


前髪を梳いていた手を叩くと、銀さんは神楽ちゃんのような拗ね方をした。


……可愛いとか思うあたり、僕もちゃっかり銀さんを愛しているみたいで。


「……明日の、」
「ん?」
「明日の仕事ちゃんとしたら…い、良いですよ…」


恥ずかしさを隠すため、僕は布団に半分くらい顔を隠した。


「…え、まじ?泊まってくれんの?」
「ちゃんとしたらですよ!ちゃんとしたら!」
「するする!銀さんヌード要求されても全力注ぐ!」
「それは全力で断って下さい」


銀さんはほんとに喜んだのか、僕のこめかみにちゅっ、とキスをした。


「電気消すぞ」
「……不意打ちってズルい」


銀さんは電気の紐を引っ張るために立ち上がろうとしたが、僕の声に反応し、膝立ちくらいで止まった。


「じゃあ新ちゃんからキスしてくれる?」
「……しない」
「でしょ」


ふ、と顔に影がかかったかと思うと、布団がめくられて、唇にやらかい感触。


「んぅ…」
「ん」


一瞬が長く感じたり短く感じたり。


唇を離した銀さんはにやにやと笑って、電気を消すために立ち上がった。


「新ちゃんのちゅーは歯が当たるからなぁ」
「なっ…も、もう大丈夫ですっ!いつの話してんですか!」
「初エッチでトんじゃった新八が、甘えまくってきて自分からちゅーしようとした時の話」
「ぎゃ!」


銀さんはくすくす笑いながら、カチンカチンと電気を消した。

月明かりが入るせいか、銀さんの表情がぼんやりと見える。


「かぁいかったよ〜あの新八は。未だにあの新八で2回はヌけるもん」
「即刻記憶を削除して下さい!」
「まあ良いじゃないの。初エッチは思い出深いでしょ。ガチガチに震える新八とか、もう…」


銀さんはにやにやにやにやと口元を引き上げながら、布団に入った。

体は僕と向かい合っている。


「ちょ、止めて下さいよゥゥ!!変態っ!バカ!」
「変態はないだろ〜。トんだのは新八だったんだから。つうか今でも2回戦とかになるとトぶよな」
「トっ…トんでないですっ!」


銀さんは布団から大きい手を出して、僕の頭を撫でた。


「じゃあ何?素面であんなにちゅーとか抱っこ求めてきてくれてんの?」
「求めてないですゥゥ!!銀さんの天パ!」
「天パじゃないし!デジタルパーマだし!」
「デジタルパーマはもっと綺麗なパーマです〜っ!」
「お前の下の毛みたいな?」
「止めろォォ!!」
「いだっ」


さすがに恥ずかしさを超えて怒った僕は、バチバチと銀さんを叩いた。


「変態!もう!バカ!バカ!」
「痛い痛い。ごめんなさいってば、新ちゃん」
「今度そんな下ネタ言ったら、銀さんの噛みちぎりますからね!」
「えっ!?その前にフェラしてくれるって事!?」
「自重しろォォ!!」


その後少し言い合っていたが、神楽ちゃんに怒られて静かにした。





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