壱
□影踏み/銀沖
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真っ黒な服に、真っ黒な心。綺麗な顔してんのに、勿体無い。着飾って、愛想笑いでもしていれば、そこらへんの男も女も振り向くだろう。
勿体無い。
沖田の姿を遠巻きに見た銀時は、心の中で小さく呟いた。どうやら、最後の一言だけは無意識に声に出てたみたいで、新八と神楽が銀時の方を振り返る。
「何が勿体無いんですか?」
「なんでもねぇよ」
「それにしても、あのサドやマヨやゴリラ、いつもいつもしつこいアル。アイツら、ワタシたちのいる場所いる場所にいるネ。ストーカーヨ」
神楽がまだ姿見える奴らに聞こえるぐらいの声で叫んだ。それが聞こえたのか、沖田がこっちを振り向く。
あぁ、やっぱな
銀時と沖田の視線が交わると、沖田が口元を緩めるのが分かる。心の中で、納得がいくほど綺麗だった。
欲しい
影のように真っ黒なお前を踏んだら、お前は俺の影になるのだろうか。昔に置いてきた、真っ黒な影に。
「銀さん?」
「あ?なんだよ」
「ボーとして、どうかしました?」
「いや…」
なーんてな。
2010/4/13