壱
□無題/銀+沖
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「ダンナァ」
「あ?」
いつもの調子でやってきた沖田が、ヒラヒラと力のない腕を振って俺を呼ぶ。
「珍しいじゃないですかィ。お一人で?」
「俺でも一人で出歩くことぐらいあるだろ。神楽の奴なら家にいんぞ」
「いえ、今日はダンナに用があるでさァ」
沖田は嬉しそうに微笑んで、手錠を差し出した。
「どうですか、ダンナァ。一緒に愛の逃避行ごっこでも。」
「いや、俺そういうプレイに興味ねぇから」
そういうと、「じゃあ、気が向いたら言ってくだせぇ」と沖田が変わらない笑顔で言った。
普通に、「一緒に居たい」と言えばいいものの。
2010/4/3