□饅頭にあんこ/銀+松陽
1ページ/1ページ






お墓に添えてある饅頭の中身は、あんこ。 甘くないから、俺は好きじゃねえ。 どちらかといえば、しょっぱい。

塩分含まれてんじゃねぇのかよ、この饅頭。 とか思いながら、口に頬張った。 しょっぱい、とか思いながらも食べていく。


お墓参りなんて、かぶき町に来て以来じゃねぇか? いや、前にも来てたっけ? まぁ別にいいけど。

手も合わせず、線香も焚かず、花も添えずに、ただ来ただけ。 我ながら図々しいな。 オマケに饅頭まで頂いてるとは、罰当たりだろ。

まっ、罰がなんだとビビってちゃ俺らしくもねぇ。 つか寧ろ、俺らしいってなんだっけ。


せめて墓石に水をかけてやりたいところだが生憎、手は饅頭で埋まってるし、水持ってねぇし。 小便ならあるぜ? 嫌だろうけどな。



「やっぱ、この饅頭しょっぺぇ」


目から頬へと伝う調味料のおかげで、クソしょっぺぇ饅頭。 まじぃ。

あぁ丁度、水が欲しいんだ。

この水でよけりゃ、くれてやらァ。




いい大人が、泣いてんだ。

誰でもねぇ、アンタのためにだ。






大人になったよ、松陽先生










2009/10/16

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ