□似た者同士/銀+土
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攘夷を追いつめたが、あまりにも多い人数で、油断した。


壁に寄っかかりながら、声にならない悲鳴を上げて、うずくまる。叫べば響く傷口に、声を押し殺す。せめて敵だけは去っていてくれと、希望を込めて。

足音が通り去っていく。安心して一息つくと、「おぃ」なんて頭上から声をかけられる。慌てて顔を上げると、そこには何度も顔を見合わせたことがあるヤツの姿があった。


「なんだ、生きてたのか」
「んだと、っ…いてて」


思わず声を上げると傷口に響いて、腹部の傷を押さえた。万事屋と目が合うと、なんとなく気まずくなって、そのまま黙った。


「いつか死ぬな、お前」
「なんで言い切れるんだよ」


俺が聞き返すと、アイツはフッと笑いながら「似てるよな」と言った。誰と?とは聞き返せない。だけど、スグにそれがわかった。


「闘う理由があるから闘って、護るべきものがあるから護って、昔の俺もそうだった」
「今は?」
「今は…、そうだな。神楽や新八がいるからな。」


苦笑を浮かべ、「じゃあな、死ぬなよ」なんて声をかけた万事屋は手をヒラヒラとフリながら去っていった。


着物の袖にに付いている血を尋ねようとする暇もなく。







しばらくして、山崎が迎えに来た。「何でここがわかった」と尋ねると、「さっきパトロール中に、そこに死体の山があったんです」と言った。




俺は息を飲んで呟いた。





「俺はアイツとは違う」















2011/3/2
護りたいだけ。

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