壱
□無題/銀+高
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「お前、俺のこと嫌いだろ」
宴会が行われている今宵、そう切り出したのは高杉だった。
「確かにお前みたいなヤツァ、嫌いだね。生意気だし、ウゼェし、いけすかねぇし…。でもよ、お前を分かってくれるヤツが他にいるなら、いいんじゃね?俺は嫌いだけどな」
銀時が小さな器に入った酒を一杯、飲み干す。俯きながら小さく笑う銀時に、高杉は隣で音を奏でながら、呟く。
「俺はテメェが気に食わねぇ。生意気で、ウゼェし、いけすかねぇ。だから、そこまで理解してんのは俺だけだ。」
「んだよそれ、プロポーズかよ」
喉を鳴らして笑う銀時に、高杉が奏でていた音を止めた。
「いや、俺はマジでお前が嫌いだから。悪いな」
「嫌いなら、謝んな」
「だな、スマン」
困らせるような言葉を選んで、無邪気に微笑む銀時に、高杉は溜め息混じりに音を奏で始めた。
「でも、テメェの奏でる音は嫌いじゃねぇよ。」
小さく呟いた銀時の言葉は、しっかり高杉の耳に入っていた。
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