壱
□無題/土銀
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酔っ払いの体温は、幼い子供と同じくらい熱を持っていた。体が火照り、顔は赤く、足をふらつかせ、泳ぎきった目は何故か寂しそうに見える。
夜中の巡回帰りに、正面からやってくる酔っ払いが、フラフラと自分の元にやって来るのがわかるなり、土方は目を細めた。
暗闇でわからなかったのだが、若干の明るさで見えた銀髪の髪を見るなり、体に気だるさが走る。
「あー、んだよ土方くんじゃ〜ん?あれ、土方くんって、兄弟いた?同じ顔がいくつも見えるんだけど」
「そうとう酔ってやがる」
銀時を目の前にして、土方は呆れた溜め息をついた。指を指して笑い出す銀時に、眉間にシワを寄せた土方が腕を掴んで引っ張り、歩き出した。
「ちょ、ちょっ、土方くん!どこ行くの!」
「いいから、来い!」
手に負えなくなった銀時を裏路地に連れ込むと、銀時はわけもわからず動揺し始めた。
「な、おい土方!痛い!痛いっての!」
「うっせ」
裏路地の冷たいコンクリートに追い込むと、勢いに任せて銀時の口を塞ぐ。なまめかしい音が響き渡り、銀時の抵抗していた力が無くなりつつのある。
「ぷはっ、テメェっ、何しやがる!!」
「何って、欲情してんだよ」
「正気か?」
「酔っぱらってるお前より、よっぽど正気だ。」
「あぁ?」
「体は正直だろーが」
「触んな、変態!」
土方の手を振り払うと、銀時は土方の胸ぐらを掴む。近い距離にも関わらず、先ほどまで酔っていた表情とは一変、真剣な顔つき。
「外でなんざ、俺ァ勘弁だからな」
そう言った後、銀時からの口付けに、土方は数秒思考が停止した。離れた瞬間、土方は顔を真っ赤にしながら口元を抑えて呟く。
「やっぱ、適わねぇ」
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