青春は止まらない
□#3 根暗女子
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次に私の私物が取られたり、隠される事が増えた。
机の中に入れていた教科書やペンを、忘れたからと勝手に盗り使われていた。
他のクラスに友達のいない私は、教科書が無く先生に怒られた。
何も言えない私に、アイツらはどんどん調子に乗って行った。
暴力行為はエスカレートし、すれ違い様に殴られる事も増えた。
物を隠すという行為は、ゴミ箱にラクガキをして棄てられる事に変わって行った。
上履き、体操服、教科書、ノート、カバンに制服。一通りのモノは全てやられた。
ラクガキも『ブス』、『学校来るな』、『根暗』、『死ね』等色々書かれた。
仲良くしてくれる良い子ちゃん達は、その事を見えない振りをする。
担任に至っては、『またか、勘弁してくれ…』という態度を隠しもしない。
終いには“私が悪い”と言い、虐めを見ない振りし出した。
クラスに私の味方はいなかった。
唯一の救いは、他学年から虐められてない事だけだった。
だからと言って、味方をしてくれる訳でもない。
ただ『あぁ、虐められてるんだ。可哀想』と眺めるだけ。
虐めのとばっちりを受けないように、関わろうとしない。
それは、大多数の同級生にも言える事だった。
そんな味方のいない中、私はますます根暗になっていった。
前髪を長く伸ばして周りを見ないようにし、人に自分から話しかけに行けなくなった。
それでも私は奴らの前では、絶対に泣かなかった。
それが私に残された、最後のプライドだったから。
でも人間て言うのは不思議な生き物で、泣けなくなると心のどこかが壊れ、人間味を無くすらしい。
自分では気づかなかったけど当時の私は家族から見て、何時か自殺するんじゃないかと心配になるくらい酷かったらしい。
そしてそんな親の心配通り、ある日私は遂に一線を越えてしまった。
リストカットをした。
最初は罪悪感が有ったけれど、続ける内に段々そんな気持ちはなくなっていった。
手首を切った時のピリリッとした痛み、血が出た時はそれを眺めているだけで心が落ち着いた。
リスカをしていると、『私はまだ生きている』と『ここに存在している』と実感出来た。
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