青春は止まらない
□#3 根暗女子
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私、香山 日菜子(カヤマ ヒナコ)には友達がいなかった。
まったくいないかと言うとそうではなく、ただ心から仲が良いと言える子がいないだけだ。
私は自他共に認める根暗女子である。お世辞にも社交的とは言えない。
毎日学校に行けばクラスメートには無視され、部活に行けば空気以下の扱いをされる。
それは小学校から続いている。
仲良くしてくれる子も、陰では私の悪口を言っている。
それを知った時は辛かった。そして自分が惨めに感じた。
あんな表ではイイ人の振りをした子にまで無視されたら、私は本当に一人になる。
それを感じて、その子に何も言えない自分が嫌になった。
耐えられず先生に相談しても先生は、「頑張りなさい。貴女がそんな性格だから虐められるんだ」と言ってきた。
私はその言葉にさらに傷ついた。
私は何も悪い事をしていないのに、どうしてそんな事を言うのか理解出来ず泣いた。
親には自分が虐められているなんて言えなかった。
虐められている自分が、凄く恥ずかしいモノのように感じたから。
そんな私に何かを感じたのか、親は何も言わなかった。
ただ時折、心配そうな視線や何か言いたそうにするだけで。
私はそんな親を鬱陶しく思い、一人になりたくてすぐに部屋に籠るようになった。
部屋にはたまに三つ上の姉と、五つ上の兄が訪れるくらいだ。
そんな優しい家族に、心配をかけさせる自分が、ますます嫌いになった。
学校では、最初は無視される程度だったのが、段々と過激になって行った。
ただ廊下を歩いていただけなのに、男子に後ろから蹴られ、女子には態とぶつかられた。
その度に『邪魔』や『廊下を歩くな』等と言われた。
ただ歩いていただけなのに…。酷いと思っても何も言えず、俯いて足早にその場から離れた。
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