青春は止まらない

□#2 スポーツ少年
2ページ/9ページ

ある日反抗する俺にアイツは言った。

「スポーツするうえで上手くなりたかったら、最初は素直に経験者の言う事を聞くのが一番だよ」

その時も結局、俺はアイツの言葉を無視した。

でも暫くたったある日、人数が少なかったからコーチに付きっきりで教えて貰える日があった。

コーチにラケットの持ち方、身体の動かし方、力の入れ方、一つ一つ丁寧に教えて貰うと、その日遂にコート内に打ち返せるようになった。

その時になってやっと俺は、アイツが言っていたのは正しかったと理解した。

俺はアイツと同じスクールの日、今までの謝罪と感謝の言葉を告げた。

アイツは「気にしてない、それよりもせっかく同い年なんだから一緒に練習しよう」と誘ってくれた。

それから俺とアイツはすぐに仲良くなった。
通う学校は違ったけど色々な事を話した。授業の進み具合や面白かった事、スクールの日が一緒じゃなかった時の話し等話題は突きなかった。

同い年だからこそ、俺達は親友でありライバルという関係になれた。

互いに互いを意識して「コイツにだけは負けたくない!」と切磋琢磨するようになると、どんどんテニスの腕が上達していく。

小学校高学年になると、ジュニアの大会に出るようになる。気付くと上位に入る程の腕前にまでなっていた。

アイツとは学校やスクールが休みの日には、一緒に打ち合うようになった。

コーチに見て貰うのとは違うから、1ゲームする事に互いに欠点等を言い合い改善していった。

そんな事を繰り返すとお互い、どう動くかが解るようになっていた。

コーチの進めで、俺達はダブルスの試合に出る事にした。

小さな大会で男女混合だけどミクスドだけではなく、男子同士、女子同士のペアもいる試合だ。

その大会、俺達のペアは準決勝で負けた。
相手は一つ上の男女のペアで、彼等はその年優勝までした。

俺は悔しくて涙を流した。俺達は、俺とアイツのペアは無敵だと思っていた。
二人揃えば誰にも負けないと思えるくらいに息が合っていたからだ。

泣きながらアイツを見ると、アイツも泣いていた。
静かに声を出さずに泣いていた。

アイツのその姿を見て、俺は泣くのを止めた。そして来年は優勝しようと誓った。

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ