青春は止まらない

□#2 スポーツ少年
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水谷 薫(ミズタニ カオル)十五歳、受験を間近に控えた中学三年生。

受験に備え俺は塾に通い始めた。
最近の俺は勉強で忙しく、学校から帰るとすぐに塾に行き、家に帰ると飯食って風呂入って宿題をして寝る。この繰り返しだ。
土日は学校が無いだけで何も変わらない。

でもそんな日常の中で昔――昔と言うほど昔の事ではないが――の事を思い出す。


俺には兄貴が二人いて、一番目の兄貴は進学高に進み有名大学に入り、大手会社の内定を貰っている。

二番目の兄貴はスポーツ推薦で高校に進み、今年日体大に進学したばかりだ。

兄貴達は早い段階で自分達の進路を決め、その道へ真っ直ぐと突き進んで行った。

それに比べて俺は何も考えていなかった。

ただ毎日を無駄に過ごし、友達と面白楽しく遊んでいるだけだった。

親も俺に期待していないのか、高校に行って卒業してくれれば良いみたいな雰囲気だ。

そんな俺でも一つだけ譲れないモノがあった。

それはテニスだ。

馬鹿な俺はすぐに色んなモノに影響される。
その中でとあるテニス漫画を読んで夢中になり、そして中学三年間をテニスに捧げた。

当時色んな週刊誌にスポーツ漫画は連載されていた。野球、サッカー、バスケ、アイスホッケー、バドミントン…etc。
その中で一際目を引いたのはテニス漫画だった。

小学生だった俺は直ぐに親に頼んで、テニススクールに通わせて貰った。

始めた時は凄く辛かった。周りの同い年の奴らや少し下の子達でさえ、コート内にボールを返すのに俺はちっとも返せ無かった。
凄く惨めで泣きたくなった時もあった。辞めたいとさえ考えていた。

でもそんな考えを変えてくれた奴がいた。

アイツは俺と同い年で、頻繁にアドバイスをしてくれていたが、当時の俺は同い年の奴が言うアドバイスを素直に聞け無かった。

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