雑種王子

□雑種王子・10
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「オヤジ、鍵!」

いきなり飛び込んできてそう叫んだ息子に、カルーシャは豪快に笑った。

「なに夕暮れ時に寝惚けてるんだ?この屋敷内に、鍵なんか掛かってるところ、あるわけないじゃないか」

「そうじゃねえよ!魔族が…」

伝えようとしたが、カルーシャはガシガシとトモリッシュの頭を撫でくる。
何とか逃げようともがけば、いきなり右手を掴まれた。

「ふーん、焔のヤツ、厄介事を押し付けやがったな」

指輪を押さえ、グリグリと回そうとする。しかし、指輪はトモリッシュの指にしっかりと食い込み、ピクリとも動かなかった。

「痛てえ!こら、止めろ!」

「あーあ、もう取れねえぞ、それ」

カルーシャはそう言い、どっかりと座った。

「どういうことだよ」

眉をひそめてそう訊けば、カルーシャは鼻を鳴らす。

「それはな、魔族の宝だ」

「それは、ミヤのオヤジさんに聞いた」

「じゃあ、どうして宝なのか、それは聞いたか?」

「…いや、それは」

ただ宝だとはきいたが、確かにただ綺麗なだけだと宝とは言えまい。

「どうしてなんだよ」

たまらずトモリッシュが訊けば、カルーシャはいつも無造作に置いてあった不気味な置物を手元に引き寄せた。

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