創作書物
□超創機大戦(其の弐)
1ページ/5ページ
-ピシュゥゥゥゥン-
-バキバキバキバキバキィ-
「『…月と太陽が三つも出ちゃ…世界が歪んでも可笑しくないよね…』」
-ズズズズズズ-
『『『オォォォォ…ン!』』』
-カシシシシシャン-
-ヴゥゥゥン-
ヤツレイ・ユミル(第二転世形態)の開いたゲートから多数の鮭芒霊が出現し、鮭芒霊の開いた口から魔法陣が形成されていく。
-ヴゥゥゥン-
-キュィン-
-ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ-
「『芒霊達が生贄を欲している…、芒霊達が唄うのは…カワキノクルシミ…』」
-ピシュゥゥゥゥン-
『グォォォォォォォ!!!!!』
『『『グォォォォ!!!』』』
-ズドドドドドドドドォォン-
ヤツレイ・ユミルの雄叫びにも似たガルドル呪歌に呼応して鮭芒霊のセイズ呪歌の合唱が始まり、開いた口から大出力魔導砲が一斉射される。
「「!?」」
-ドォォォォォォォン-
-シュゴォォォォォ-
-チュドォォォォォン-
-ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォ-
魔導砲はコヨミ・ユミルと陽炎零式を掠め、遠くの山の頂上付近を消滅させる。
「『…蒼月の翼乙女(天郷暦)に…陽炎の覇王(栗坂勢気)…、君達の欲深さは因果の彼方を狂わせ、壊世連環化を早めている…』」
「何だと…!?」
「おわっ!?言ってる意味がわかんねえ!?」
『「…八玲、あの馬鹿(栗坂勢気)には理解出来ない様だよ、さっさと潰しちゃった方がいいんじゃないかい?」』
八玲の言に理解を示さない勢気にデフィジィは嘲笑いながら言う。
「『…本能は僕を理解しているみたいだよ、…僕が危険だって…理解してる…』」
-グォォォォン-
「…ぐ…が…何だ…!?」
八玲は邪気眼波動で勢気の恐怖心を煽り、微笑みながら言う。
「呑まれるな!栗坂!」
「!!ド根性ォォォ!!!」
-ギュゥゥゥゥン-
暦の一喝を受けた勢気は、気合で恐怖心を打ち払う。
『気合で八玲の邪気眼波動から脱するなんて驚きだ、余程の阿呆か単純な構造になってるんだろうね…クスクス…」』
「サランラァァップ!!さっきからウッセーぞ黒いの!馬鹿の天辺こと栗坂勢気を舐めんな!!」
デフィジィは馬鹿にした口調で言い、勢気は気合いを込めて言い切る。
「勢気、勢気、サランラップは食材や料理を保護するアレね」
「細かい事は気にすんな!そ・れ・が・俺様…栗坂勢気のメンソールだぜぇぇぇ!!!!」
芙蓉にツッコまれるが、勢気は開き直り叫ぶ。
「メンソール…?マイソウルの間違いじゃねえのか?」
「どわぁぁ!!知力7のお前が突っ込むんじゃねえよぉ史彦ぉぉ!!」
「だぁぁ!うるせえよ知力8の学年最下位男が!」
史彦にツッコまれるや、勢気は頭を抱えて叫び、史彦は勢気に言う。
『「……八玲、この馬鹿どもにキツいお仕置きしてあげよう…!」』
「『………』」
-シュゴォォォォォ-
-ドゴォォォォォォォン-
デフィジィは八玲に言い、八玲は無言で大出力魔導砲を放つ。
「面舵いぃぃっぱい!!!ウリャァァ!!!」
勢気は芙蓉と史彦を掴んで急発進し、ヤツレイ・ユミルの大出力魔導砲を回避する。
「『………』」
「………!」
八玲は醒めた目で勢気達を見た後、視線を暦の方へ移し、暦は邪気眼を回避する。
「貫け!」
-ズドドドドォォン-
「『我無罪也』」
-ヴゥゥゥン-
ヤツレイ・ユミルは刃術を発動して空間を遮断し、コヨミ・ユミルの放ったコンデム・リヴォルヴァーの連射を無効化する。
「それならこうするまでだ」
しかし、暦は展開を読んでおり、高位透術を発動させる。
-チュン-
-ズゥゥゥン-
『「うわ!?」』
「『!?』」
ヤツレイ・ユミルにコンデム・リヴォルヴァーの弾が直接命中し、デフィジィと八玲は驚く。
『『『オォォォォン』』』
「…くっ!…セイズ呪歌が直接頭に響き渡る…!」
ヤツレイ・ユミルにダメージを与えた事により、コヨミ・ユミルにカウンター・セイズが浴びせられ、暦は苦しむ。
「気合いだぁぁぁ!!!天郷ぉぉぉ!!!」
「…!!…ハアァァァ!!!」
-キュゥゥゥゥン-
-ギショォォォン-
勢気の気炎の叫びを受け、暦は自らを奮い立たせ、術力を高めてセイズ呪歌を打ち払う。
暦とコヨミ・ユミルに反応してか、ヤツレイ・ユミルの闇月領域の影響で暗雲に隠されていた蒼月が姿を表し、蒼き月の光がコヨミ・ユミルを照らす…。
コヨミ・ユミルは蒼き月の光を浴びて活性化していき、蒼月の光を浴びた暦にも力が漲っていき、暦とコヨミ・ユミルが蒼月の光のベールに包まれる。
「おおお!?何だ!?力が湧いてきたぞ!?」
「…燃える…心と身体が燃えてくる!」
「よくわかんねえけど絶好調な感じになってきたんじゃね!?」
コヨミ・ユミルの「蒼月のヴェール」の影響を受けた勢気、芙蓉、史彦も力が漲っていく。
「『…蒼月のヴェール…僕の闇月の牢獄を相殺するなんて…、…蒼月の翼乙女は巨人の子や月の王子、弱竹のかぐや姫にも劣らない絶大な力を秘めている…』」
『「冷静に分析してるなんて余裕だね八玲、…どうするんだい…?」』
八玲はコヨミ・ユミルの蒼月のヴェールを分析しながら呟き、デフィジィは八玲に尋ねる。
「『…計画変更だね、第三の転世の為…冥帝と魔王の力を強固なものにして力を蓄えよう…』」
『「わかったよ八玲…、暫くは現世と幻世と因果の黄昏の狭間を彷徨うとしよう…」』
「『ユミル…向こう側へ行くよ…』」
-ヴゥゥゥン-
-シュゥゥゥン-
ヤツレイ・ユミルは溶け込むかの様にその場から消えていく。
「待ちやがれ!タダで逃がさねえぇぇ!!!」
「俺達の力を受けてみやがれ!」
-ゴォォォ-
勢気と史彦はヤツレイ・ユミルに追撃するが…
「待て!」
「待…!」
-ドゴォォォォォォォン-
「ぐほおっ!?」
「がぁ!?」
暦と芙蓉が止めるのも間に合わず…対ZW防御壁に激突し、勢気の陽炎零式と史彦の量産型蟒蛇弐式は対ZW防御壁に埋まる。
「…はあ、勢気も史彦も猪突猛進が過ぎるよ…」
芙蓉は若干引きながら言う。
「引き抜くよ、せぇーの!」
「「………!」」
芙蓉は勢気と史彦の足を掴んで引き、勢気と史彦は言葉にならない言葉を発する。
「…敷島、手を貸そう、透術を使うからその間に救助してくれ」
「天郷さん…、この二人が迷惑かけます…」
見かねた暦は、ユミルを対ZW防御壁に触れさせながら言い、芙蓉は申し訳なさそうに言う。
「ユミル!」
-シュゥゥゥン-
-スルッ-
「ああ〜マジで死ぬかと思ったぜ!」
「助かったぁ…」
暦が透術を発動させ、対ZW防御壁をすり抜けさせるや…勢気と史彦は芙蓉に引き抜かれて無事に救助される。
________________________
_____________________