†捧げ物†

□確かな答え
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慶次がいるという近くの川に来てみると、先に始めているのか手に盃を持ち、手酌を楽しんでいた。




金の鬣を括り、朱色に塗られた鎧をその巨体に身に着け、これでもかと思う程大きな此又自身に見合う野性に満ちた立派な馬を従えた良く知っている後姿。




孫市の気配に気付き、ゆっくりとそれは振り向いた。









「よお、孫市。久しぶりだ…」
孫市は牽制する様に迷い無く自身の得物を慶次の額に突き付けた。




「何のつもりだ、慶次。今どういう状況か分かってんのか?」
「別にアンタの所に奇襲しに来た訳じゃないさ。今は……アンタの知人として来てる。他意は無いね」
降参する仕草を見せる慶次を暫く見つめていたが、孫市は一息吐いて得物を降ろした。
得物である戦神楽を持っていない、と言うのが何よりの証拠であるからだ。
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