†捧げ物†
□取持つは、蝶
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嬉しそうに頬を染める若い女を携えているのを。
嫌がる素振りも見せず腕を絡ませ、娘はさも当然とばかりにぴったりとくっついて離れない。
孫市は金縛りに遭った様に動けなかった。
何でだよ。何で嫌がったりもしないで好き勝手させてんだよ。
頭がグラグラする。気持ちが悪い。
心の蔵がまるで釘でも打たれた様に苦しい。
そして更に追い討ちを掛ける様に、それは目の前で繰り広げられた。
口付けを、したのだ。
気がついたら、孫市は頼んでいた団子も忘れて駆け出していた。