†捧げ物†

□身近にいるサンタクロース
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結局、ケーキ屋は早々に店仕舞いをし、そのせいかコンビニのケーキも次の入荷を待っている状態。
仕方が無いので無事仕事が終わった2人は孫市の部屋に帰り着く。




しかしそこには何時もと違った光景が広がっていた。












「な、何だこりゃ?」
「ほう……粋な計らいだねぇ」
窓際に小さなクリスマスツリー、枕元にはプレゼント。テーブルにはキャンドルライトで灯された冷えたシャンパンとローストチキン。そして真ん中に鎮座するあれ。






「……ケーキだ」
綺麗に丸太の模様が現れたブッシュ・ド・ノエルがあったのだ。
「これ……誰が?」
周りをキョロキョロと見渡す孫市に、慶次はクリスマスツリーの足下に視線をやった。
クリスマスカードが2枚置いてある。
開いてみると、2人のサンタからのメッセージが書かれていた。






『Merry Christmas! 聖夜くらいはちゃんとしなさいよ』

『Merry X'mas. お仕事お疲れ様です。来年も宜しくお願いします』





慶次はフッと笑うとカードを孫市に手渡す。孫市もそのカードを見て苦笑いを浮かべた。
「あいつら……」
「まぁ折角用意してくれたもんだ。楽しもうぜ」




わざとらしく椅子を引く慶次に孫市も眉を顰めつつ素直に座る。
クックッと笑うとシャンパンを開けて注いでみせた。




「……メリークリスマス」
「メリークリスマス」
カチンとそっと合わせて一口。陸遜に強請ったのかとても上質なのが分かった。




「美味い酒だ」
「そして美味いケーキ、だな」
甘い物に目が無い孫市。勿論今回も手抜かり無くケーキを頬張る。乗っていたチョコレートで作られた家も砂糖菓子のサンタも早々と孫市の皿に移動されている。



「……うん、美味い」
「なら俺にもくれよ」
そう言って慶次は身を乗り出して孫市に口付ける。
口内を探ったら甘いチョコレートの風味が舌に伝わってきた。



「甘いねぇ」
「……ならすんなよ」
頬の赤みを隠すかの様にシャンパンを煽る孫市を後ろからそっと抱き締めた。






「プレゼントは無いのかい?」
「お前だって何も無いだろ」
「俺はまぁ……後でのお楽しみだ」
「ふーん……なら……」
孫市から慶次の首に腕を巻き付ける。慶次にはそれが何を意味するか分かった。





「良いのかい?」
「今更だろ?」
「違いないねぇ」
慶次は孫市を抱き上げ、そのまま奥の寝室へ消えて行った。
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